懲戒処分の定め

懲戒処分とは

ブラック企業に勤めていると、「お前はクビだ!」「あいつクビになったってよ」という台詞を聞く機会があると思います。

B運輸でも、私の在籍中2、3人「クビ」で辞めていきました。

「クビ」となった理由は、上司の無茶な業務命令を聞かなかったり、嫌がらせ配車を拒否したりで、会社の規則を守らず反抗的だったという名目でした。

しかし同じような業務命令無視をした、別の社員(上司のお気に入り)はクビにならず口頭注意のみだったりして、簡単に言えば見せしめの為です。

まるでどこかの国の総書記みたいに権力を振りかざしてましたが、B運輸ではそれは当たり前のことでした。

そして従業員は火の粉が降りかかることを恐れて、上司が思いつきで無茶な業務命令を出しても、当たらず触らず大人しく従ってました。

「お前はクビだ!」は許されない

さて、この総書記ならぬ上司は、気に入らない従業員の粗を探して罰を与えるのが趣味みたいな人でした。

私もある時から目を付けられ、ミスとも言えないようなことで始末書を書かされたので、怒りをこらえて「懲戒処分」について調べたら、

「不当な処分は職権乱用となり無効とされる」

ということが判り、良い武器を手に入れた気分になった覚えがあります。

とりあえず良い武器を手に入れても、使い方を知らないのでは戦えないので、まず「懲戒処分」の種類を理解しましょう。

  • 戒告
  • 譴責(けんせき)
  • 減給
  • 出勤停止
  • 停職
  • 降格
  • 諭旨退職
  • 懲戒免職

上から処分の程度が軽く、下へ行くほど重たい処分になります。

軽い処分から説明していきます。

戒告とは、いわゆる口頭注意です。

「てめぇ、ふざけんな!」「ばかやろー!」などはブラック企業なら日常会話みたいなものですね。
ただ、あまりに日常的に暴言を吐いてくるようなら、録音していざという時の為に備えておきましょう。

譴責(けんせき)とは、始末書提出です。

あることが原因で上司から嫌がらせを受けるようになった私が、書かされた始末書は、日常業務で書類に承認印を事務員に押してもらうと言う規則を、たった一度だけ忘れた為でした。

誰に聞いても口頭注意すればいいであろうレベルの事です。
このような第三者から見ても不当な処分を受けた時は、始末書などのコピーを取っておくなりして記録しておけば、役に立つ時が来るかもしれません。

減給とは、そのまんま給料を減らされることです。

給料を減らされてしまうので、厳しい処分といえるでしょう。

しかし減らせる額には限度があり、

「一回の減給額は、一日の平均賃金の1/2以下。減給総額は、一賃金支払期の1/10以下。」(労働基準法第91条)

となってます。

例えば、日給1万円、月給20万円の人が処分を受けた時、一回の減給額は1/2である5千円以下、減給総額は1/10である2万円以下となります。

出勤停止とは、○日間会社に来るなということです。

停職中は就業規則に定めがあれば、賃金も支給されません。

この懲戒処分は法律での規定が少ないようで、就業規則の定めが重要のようです。

ブラック企業の場合、就業規則そのものが不適当だったりするので、自分が不当な扱いを受けている感じがしたら、一度就業規則に目を通しておくといいでしょう。

降格とは、部長から課長や係長から主任など、格下げされることです。

格下げされることで給与や賞与も下げられるわけですが、それなのに仕事内容や責任が変わらないとしたら不当処分といえるでしょう。

解雇とは、ずばりクビのことです。

まず解雇の前提として

「解雇は、客観的に合理性を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして無効とする。」(労働契約法 第16条)

とあり、冒頭に出てきたような「言うこと聞かないから、見せしめにクビ」というのは、客観的にも社会通念上にも妥当だとは言えないでしょう。

また、解雇には四通りあります。

整理解雇 (いわゆるリストラ)
普通解雇 (通常のクビ)
諭旨解雇 (温情的な懲戒解雇)
懲戒解雇 (事件など社会的な問題を起こしたことによる問答無用のクビ)

整理解雇=リストラなのですが、会社側は実行するのに様々な条件をクリアする必要があります。
一般的には以下の4要件を満たすことで整理解雇が有効となるようです。

  1. 人員整理の必要性
  2. 解雇回避努力義務の履行
  3. 被解雇者選定の合理性
  4. 手続の妥当性

もし、これらの段階を踏まずにリストラされたのなら、不当解雇として会社に訴えることも、法的に訴えかけることも可能になるでしょう。
参考リンク:「整理解雇」(wiki)

普通解雇とは、ブラック企業で日常的に横行している、いわゆるクビですが、こちらもいくつかの条件に該当しないと出来ないとされています。

  1. 病気が1年以上続き回復の見込みが無い。
  2. 怪我をして2年も長引き業務に支障がある。
  3. 専門職として採用したが、専門技術が著しく低い。
  4. 職務遂行能力が欠如している

このように客観的に判断できる基準が少なく、特に3番目と4番目の理由についてはクビを宣告できる立場にある人の主観に基づく判断で決められてしまいます。
よってクビにした使用者の主張と、クビにされた労働者の不服が対立した時は、第三者による公平な判断が出来る証拠が必要となります。

諭旨解雇とは、耳慣れない言葉ですが定義としては「懲戒解雇に当たるけど、退職金の支給や自己都合退職扱いにするなど労働者をおもいはかった処置」みたいな感じでしょうか。

以上、3種類の解雇には「解雇の予告」「解雇予告手当」が必要となります。

使用者が労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告をするか、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない(労基法第20条1項)

とあり、失職した労働者の損害を補うための法律が定められています。

懲戒解雇は、刑事事件を起こしたり、故意に会社へ莫大な損失を与えたりしなければ出来ないとされています。
もしくは2週間以上の無断欠席がある場合や、それに加えて複数回にわたる注意をされても改善されない場合も懲戒解雇の対象となります。
参考リンク:「懲戒解雇」(wiki)

「懲戒解雇」以外でクビ宣告された場合、ブラック企業によくある「クビだから明日から来なくていい」というのは、堂々と不当解雇として対抗できるでしょう。
突然のクビ宣告に納得が出来ない場合は、「相談機関」で紹介してるような施設や労働問題を専門とした弁護士に相談することをお勧めします。

懲戒処分のまとめ

クビもそうですがその他の懲戒処分も、会社の就業規則で定められていて、適切な段階を踏んでされたかが問題になります。

自分が納得できない処分を受けたと感じたなら、就業規則を確認することや、この処分が妥当なのか、調べることをお勧めします。


 

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