運輸業における労働時間の定め

ドライバーという仕事

運輸業、運送業、トラックドライバーと聞くと長時間労働は当たり前の仕事という印象があると思います。

事実、私がいたB運輸でも14時間拘束は当たり前。

北関東で大雪が降って道路状況が大混乱した日には、ほぼ2日間トラック乗務をさせられて身も心もボロボロになりました。

始業から24時間ほど経って営業所に戻った時に、もう限界と感じて「誰か代わりを用意して下さい」とお願いしたところ、

「その仕事、他に出来る人いないから最後まで頼むわ」

とバッサリ切り捨てられて、途中仮眠を取りながらも意識朦朧としたまま業務を終えたのが14時間後でした。

こういった緊急事態では仕方ないとも思えますが、他社のドライバーにも聞くと、運送業の場合は「他に人がいない」という言い訳が頻繁に出て従業員を酷使しているようです。

 

自動車運転者の労働時間等の 改善のための基準

余談が長くなりましたが、ここからが本題です。

厚生労働省が配布している文書に、運輸業の運転手に関わる時間の定義が記されています。

労働大臣告示「自動車運転者の労働時間等の 改善のための基準」

詳しくは上のリンクにあるpdfを読んでいただくとして、ここでは要点をまとめてみたいと思います。

ポイント1 拘束時間・休息期間と休日

拘束時間とは休憩時間を含む始業時間から終業時間のことです。

休息期間とは終業時間から次の始業時間までの時間です。

ここで休息期間という聞きなれない言葉が出てきますが、8時始業の会社だったり、9時開店のお店だったりと仕事開始の時間がはっきりしてる仕事と違い、トラックドライバーの仕事は夜中の2時出発の時もあれば朝8時に出発しても納品時間に間に合う場合があり、仕事内容によって始業時間も終業時間も変わってきます。

B運輸でも、19:00終業、その日の23:00始業出発して翌日早朝納品・・・なんて配車を組まれたこともありました。

この場合、休息期間は4時間になります。

当然、告発すれば違法になりますね。

ポイント2 拘束時間の限度=休息期間の確保

拘束時間について

  • 1日の拘束時間は13時間以内を原則に16時間まで延長できる
  • 1日の拘束時間が15時間を超える回数は1週間に2回が限度
  • 1ヶ月の拘束時間は原則293時間を限度とし、労使協定があれば1年のうち6ヶ月までは、1年間の拘束時間が3516時間を超えない範囲で1ヶ月の拘束時間を320時間まで延長できる

すでにややこしいですが、続いて休息期間と休日について

  • 1日の休息期間は継続8時間以上は絶対必要条件
  • 1日(24時間)=拘束時間(16時間以内)+休息期間(8時間以上)
  • 拘束時間と休息期間は表裏一体である為、休息期間が9時間未満の日は1週間に2回が限度
  • 休日は、休息期間+24時間の連続した時間であり、いかなる場合であっても30時間を下回ってはならない。

以上、拘束時間と休息期間と休日についてまとめてみました。

数字だけで覚えるのは大変だと思いますが、自分の業務内容に照らし合わせてみると、法律上働きすぎなのかどうか理解が進むと思います。

 

ポイント3 運転時間の限度

  1. 1日の運転時間の限度は、2日間の平均で9時間が限度
  2. 1週間の運転時間の限度は、2週間ごとの平均で44時間が限度
  3. 1回の連続運転時間の限度は、積算4時間が限度。30分以上の中断があれば、積算時間はリセットされ、中断は10分以上必要。中断は作業でも休憩でも問わない。

続いて運転時間についてですが、このうちの連続運転時間ついてはどの会社も従業員にはうるさく言ってるようです。

独自ルールでやりたい放題のB運輸も、連続運転時間だけは事あるごとに注意されました。

連続運転時間に関しては、ドライバーの意思によるところが大きいでしょうし、デジタコなどの機器で記録として残るため監査の対象にもなっているからでしょう。

ドライバーが連続運転時間をきちんと守ったとしても、上記2つの運転時間の限度は配車担当に依存するものなので、守れていない会社も多いと思います。

気になる方は、自分のだけでなく同僚の運転時間も参考にしながら計算してみると面白い結果が出るかもしれません。

ポイント4と5は簡単な内容なので割愛させていただきます。

以上、時間に関してまとめてみましたが、この労働時間の項目は、運行管理者試験でも必須項目なので、運管を取る必要がある人は丸暗記してしまいましょう。

運輸業における労働時間のまとめ

  • 自動車運転者の労働時間は、厚労省によって明確に定められている
  • 一日における運転時間と拘束時間には限度がある
  • 拘束時間と休息時間は相対関係にあり、使用者は限度を超えて働かせてはならない

運送事業において従業員の長時間労働問題は切っても切れない関係にあると言えるでしょう。長時間労働や休憩不足が起因と思われる事故も度々ニュースに取り沙汰されています。
ドライバー自身、無理させられてると感じたら専門家へ相談し転職も視野にいれて自分の身を守りましょう。

ちなみに運送業の労働相談は、労働基準監督署でしてくれますが、国土交通省の管轄でもあるので近くの運輸支局(旧陸運局)でも相談に乗ってもらえます。
また長時間労働で転職も考えるのなら職業安定所(ハローワーク)に行って相談すると、特定受給資格者又は特定理由離職者という失業給付を有利に受けられる制度を紹介してもらえるので是非お忘れなく。

参考リンク:職業安定所、特定受給資格者


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