地方運輸局(陸運局)

地方運輸局(陸運局)とは

「陸運局(りくうんきょく)は、かつて存在した運輸省の地方支分部局である「地方陸運局」、その下部組織(出先機関)である「陸運支局」、「陸運事務所」の総称。いずれも陸運行政全般を担当していた部署である。

地方陸運局は現在の国土交通省地方運輸局の陸運部門、陸運支局は地方運輸局の下部組織である「運輸支局」の陸事部門、陸運事務所は運輸支局の出先機関である「自動車検査登録事務所」に相当する組織であり、現在でも一般においては「陸運局」の呼称が通称として用いられることがある。」(wikiより抜粋)

現在、「陸運局」というのは無く、「地方運輸局」という組織に改編されてます。

「地方運輸局(ちほううんゆきょく)とは、国土交通省の地方支分部局のひとつ。運輸・交通に関する業務を所管している。

管轄地方の運輸・交通関連の行政においては大きな権限を持っている。各地方運輸局は出先機関として運輸支局・自動車検査登録事務所・海事事務所を置き、登録・許認可の実務の多くをそちらで行っている。」(wikiより抜粋)

つまり陸・海の交通に関して統括する組織といったところでしょうか。

運送会社にとっては、味方でもあり敵でもあるでしょう。

ちなみに私の周りでは、「地方運輸局」と言うより「陸運局」と言ったほうが、話が通じます。

地方運輸局(陸運局)の実際

「労働基準監督署」では労基に相談した時の説明をしましたが、今度は地方運輸局に相談しに行った時の話しです。

私と同僚は会社が出す違法性が高い業務指示を止めさせたく思い「陸運局へ直接話を聞きに行こう」と話し合い、運輸支局のある○○市へ向かいました。

労基へ相談に行ったときは一応アポは取っていったのですが、今回はアポ無しで行った場合どういう対応をするのか興味があり突撃してみました。

車検などの申請待ちで賑わう事務所に入り、近くの職員に「会社のことで相談に来ました。」と告げると、やや警戒した感じで「少々お待ちください。」と言われます。

置いてある資料などに目を通しながら10分ほど待っていると、「お待たせしました。」と声をかけられ、奥の部屋へ通されます。

そこには長机が置いてあり片側5人くらいのスペースに私達が座り、対面する形で職員2人がメモを持って着席します。

始めに「今日はとりあえず相談に来たので、氏名や会社名は伏せたい」と言うと、労基のときと同じくそれで構わないとのことです。

また私達が証拠として持ってきた資料に会社名が入っているものがあったのですが、相談内容については職員に守秘義務があるし、会社名が分かったとしても、相談の段階では監査に入ったりはしないとのことです。

「今回は匿名相談である」という確認が取れたところで、私達は以下の問題点について職員に聞いてみました。

  • 法令に沿ってない形だけの乗務前点呼と乗務後点呼。
  • 待機時間を休憩扱いとして賃金カット
  • 最低8時間の休息時間が取れないような運行業務指示
  • 過積載が分かっていての業務指示 等々

結論から言えば全て違法だそうです。

まぁ、違法性があると調べたうえでの証拠を持ち込んでいるので当然の結果だとは言えます。

そして仮に監査が会社に入った場合、警告や指導が前提にあるものの下記リンクのような処罰が下されるようです。

「貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為及び日車数等について 別表」(国土交通省pdf)

この表を参考にすると、B運輸でしている上記のような違法業務指示があった場合、

  • 法令に沿わない点呼をしている=安全規則第7条第5項、点呼の記録違反・3.記録の改ざん、不実記載にあたり、初違反でも「30日車
  • 過積載の指示=法第十七条第2項、過積載運送の引受け・指示等にあたり、初違反でも「10~30日車×違反車両数

となっており、厳しい処分が下されることになります。

ここで○○日車という見慣れない言葉が出てきます。

この記事では詳しい説明は省きますが、簡単に言えば「トラックの使用停止」処分ということです。

また、国土交通省は運送事業者に対して監査の結果、違反がある会社に点数を加算して累積点数に応じて処分を実施する、という点数制度を導入しているそうです。

運転免許の点数制と同じ仕組みですね。

ただ、仕組みは同じでも基準がややこしいらしく、実際に監査に入らないと具体的に何点の違反とかは判らない、と明言は避けてました。

職員の説明によれば、監査で違反が見つかっても、即処分とはならず、最初は勧告・指導で済ますことが多い。

それでも是正されない場合は、車両の使用停止や営業停止、最終的には認可の取り消しまである、ということです。

担当職員からの注意事項

会社の違法行為を告発する上で注意したほうが良いと二つ、職員から指摘を受けました。

  1. 会社の書類(伝票、日報、指示書等)は、例えコピーでも持ってこないほうが良い
  2. 会社が指示を出したと言える確実な証拠があればベスト

と、2点について注意してほしいと言ってました。

1については、例えば個人の日報であっても、または指示書のコピーであっても、業務に関することは機密情報でもあるので、社外に持ち出した場合、情報漏えいとして逆に損害賠償を求められる可能性が出てしまうからというもの。

2については、例えば過積載などは「従業員が勝手にしたことだ」と会社が言い逃れすることも有り得るので、過積載の業務命令があった日付と内容をメモするなどして記録することが重要だ、というものでした。

やはり第3者が見ても判るような記録を残しておく必要があるようです。

国土交通省における公益通報手続

時間にして1時間半くらいのアポ無し相談でしたが、職員の方は嫌な顔もせず丁寧に応対してくれました。

最初はこちらも警戒心がありましたが、最後のほうは打ち解けてきて、つい

こんなブラックな会社が堂々と経営してられるのは、監査が甘いんじゃないですか?

と同僚が冗談半分でいってみたら、

形式的な監査では会社が偽装していたらわからない場合もある。しかし今回のような告発があれば監査に入った時、会社が偽証してるかどうかの判断が出来るということです。

という真剣な答えが返ってきました。

そして

国土交通省における公益通報手続」(国交省HP)

というものもあるので、そちらの利用も検討してみたらどうですか?と薦められました。

この公益通報とは、会社と雇用関係にあれば誰でも利用できるもので、例えるなら、何か事件が起きた時

  • 地方運輸局(陸運局)に告発する=所轄警察(局番)へ通報する
  • 公益通報に告発する=110番通報する

みたいな感じでしょうか。

国土交通省の公益通報に係る事務処理要領(pdf)」

この書面の5ページ~6ページにかけて「公益通報の処理」と言う項目に、要約すると「特定されないよう配慮しつつ進捗状況や結果を通報者に報告する」とあり即効性と確実性が感じられます。

一方、運輸局では通報者が特定されないよう配慮はするものの、進捗状況や結果までは教えられないそうです。

もし会社の改善を行政に求めてはいるけど、「お役所仕事」に期待できないという人は、この公益通報を利用してみるといいでしょう。

地方運輸局(陸運局)のまとめ

冒頭にも説明したように職員の対応を知りたくてアポ無しで訪問したり、口の悪い同僚が不躾なことを言ったりしましたが、今回担当した職員は年齢的には若そうでしたが冷静かつ丁寧に対応してくれて、しっかりしてるなぁという印象を感じました。

実際のところ、従業員を奴隷のように扱うB運輸に監査が入ったとしても、指導の範囲外は何も変わらないかもしれないけど、一石を投じるという意味では、今回の担当職員のような人に任せてみたいと、希望が生まれたのは大きな収穫でした。

さらに、通報しても特定される心配が無く、進捗や結果が随時わかる「公益通報」という手段もあったと知れたのも、専門家に聞いたからこそという実感です。

今回も長々とした記事になってしまいましたが、最後まで読んでくれた方の知識や手段が増えたなら幸いに思います。

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